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東京地方裁判所 昭和52年(ワ)8575号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

一支払期日の訂正部分を除き成立に争いがなく、<証拠>とを総合すると、小西が事実上経営していた(このことは当事者間に争いがない)国土総合企画が借主、原告が貸主となつて原告主張の頃、主張の金額を元本とし利息を月三分とする約の四口の金銭消費貸借がなされ、当初の約定返済期日は左記のとおりであつたがいずれも数回延期を重ね最終的には右四口とも昭和五二年三月一六日とされたこと、右各貸借に当たり小西から原告に対し、貸借の証拠及び担保として、原告主張の貸付日を振出日、貸付額を手形金額、左記返済期日を支払期日とする国土総合企画振出の約束手形四通(甲第一ないし四号証の各一、小西も各手形表面に記名捺印しているもの)が交付され、返済期日延期の都度支払期日が訂正されたこと、右各貸借については他に証書の類は作成されなかつたこと、以上の事実を認めることができ、右認定を動かすに足りる証拠はない。

元本額   返済期日

(一) 請求原因1の(1) 一〇〇〇万円 昭和五〇年九月三日

(二) 同(2) 一〇〇〇万円 同年一一月一九日

(三) 同(3) 七〇〇万円 同年同月同日

(四) 同(4) 一八〇〇万円 昭和五一年二月二八日

二右各約束手形につき被告がそれぞれ裏書をするとともに、各手形ごとに自己の印鑑証明書を小西に交付したことは当事者間に争いがなく、<証拠>によると、右裏書及び印鑑証明書交付は、小西から被告に依頼して前記各貸借に先立つてなされ、右各印鑑証明書は各手形に添えて貸借の際に小西から原告に交付されたことが認められるけれども、右各裏書が消費貸借の借主の債務を保証する趣旨でなされたこと及び被告が本件金員貸借による借主の債務につき保証を約束したことを認めるに足りる証拠はない。

<証拠>を総合すると、小西は昭和四五年頃にも原告から約一〇〇〇万円を借受けたことがあり、その際、小西が原告に交付した手形に被告が裏書していたために被告は後に八〇〇万円を立替払させられて迷惑を被つたことがあり、本件裏書に当たり被告は小西から、国土総合企画が遂行中の宅地開発事業につき関係会社に預ける手形であり裏書は債務保証の意味ではない旨説明され、右事業計画の存在を確認したうえ最初の裏書をしたものであり、その後の裏書も同じ趣旨でなしたものであつて、被告は、前認定の最終返済期日経過後に原告から支払を請求されるまで、本件各手形が金員貸借のために使用されて原告の手中にあることも数次にわたり支払期日の延期訂正がなされていることも全く知らなかつたこと、印鑑証明書の交付は、小西の要請により裏書の真正を証明するためになしたものであること、以上の事実を認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

<証拠判断略>

三原告主張の代理権授与表示による表見代理については、一般に振出人の依頼により手形に裏書をし、かつ、印鑑証明書を振出人に交付したからといつて、直ちに、その後振出人が右手形を使用して金員を借入れるについて右借金債務の保証の代理権限を右振出人に授与した旨を裏書人が表示したものとはいえないものであるところ、本件においては、前示の事実関係に照らすと、被告が保証契約締結の代理権限を小西に授与した旨表示したとは認められないから、被告に原告主張の表見代理による責任を負わせることはできない。

(渡辺惺 手島徹 藤山雅行)

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